究極の活劇!
2020年7月2日 21時13分
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総合評価:
5.0
第33回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。冒頭から仲代達矢の一人二役。片方は戦国武将、武田信玄。もう一人は瓜二つの名もない村人。のっけから長回しで間合いも取り、映画ファンなら、この映画が只者では無い事を予感させます。
黒澤明監督が次作「乱」の布石のためにこの「影武者」を撮ったそうですが、重厚なリズムとストーリーの面白さ、脚本、演出、演技、セット、スケール、どれを取っても超一級品の映画です。あえて言うならばその後の「乱」は芸術作品、「影武者」は映画、もしくは芸術性を兼ね備えた究極の「活劇」だと思います。そのあたりがカンヌから評価されたのでしょう。
あえて乗れなかったのが、音楽です。担当しているのが池辺晋一郎。これは何も池辺氏が悪い訳ではありません。当時、黒澤明がフィルムを編集後、既成のクラシックを当てて、それにそっくりな曲を要求したようです。たしか当時のテレビの予告編では、スッペの「軽騎兵序曲」でした。さすがに本編では流れなかったですが…。