つかみどころのない被告人
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月27日 16時33分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
後半では殺人事件の真相について語られますが、それよりも被告人である三隅の心情や言動の理由に焦点が当てられた映画です。
被告人にとっての弁護人は自分自身を弁護してくれる存在であるのに、三隅は弁護人である重盛に対しての供述を二転三転させます。自分自身が死刑判決を受けるかもしれないのにそれよりも別のものを大事にしているように感じさせます。核心にせまる発言を避けているように感じられ、三隅という男が何を隠しているのか、何を考えているのか、とても興味がわくように描かれています。
ストーリーが進むにつれて三隅の過去や身辺のことが明らかになっていき、三隅の言動の理由は彼が過ごしてきた人生に深く関わっていることが分かります。
見ている側が事件の真相と三隅という男についてそれぞれの解釈ができる構成になっていて、見終わってからこの映画のタイトルの意味についても考察ができると思います。
いつの間にかストーリーにひきこまれていてとても楽しめました。つかみどころがないが心の底に確固たる思いを持っている三隅を演じた役所広司の演技がとても良かったです。