最後はそれぞれが考えるのか
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月19日 08時26分
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総合評価:
4.0
殺人事件の被疑者が供述をコロコロ変えていい加減な男なのかなと思ってしまいますが、もっと深い何かを抱えて人生を終えるんだと感じる事ができるような絶妙なつくりになっています。
淡々と供述する犯人には嘘をついている感覚とかはなくて、自分を弁護してくれる人間が信頼できるかどうかという一点に尽きている感じです。
弁護士は策を練ってどうにか死刑を回避できるように持っていこうとする場面では、この人の事実は関係なくストーリーに沿って裁判を進めていけば助かるかもしれないんだという何か腑に落ちない気持ちになったのも事実です。
自分は殺していないと急に証言を変えた場面では心の叫びをあげるように犯人に思いをぶつけますが、犯人がその時に言った言葉がこの映画の全てを物語っているように感じます。
彼は死刑になる事が恐ろしいのではなくて、人に信じてもらえない事が恐ろしいのだと。その気持ちがわかったから弁護士も方針転換したのかもしれません。
刑が決まって面会した場面では信頼しあっているせいかスッキリしている感じかして、何か安心したことを覚えています。