映画ポップコーンの評価
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この映画「戦略大作戦」は、戦争アクションに、金の延べ棒奪取作戦をプラスしたところが新味の、戦争冒険アクション映画の痛快娯楽作だ。 監督は「荒鷲の要塞」のアクション映画を得意とするブライアン・G・ハットン。 この映画は、戦場の中での戦闘アクションだけでなく、計画犯罪ものの持つ面白さも盛り込んで、二倍楽しんでいただきましょうという趣向だ。 この着想はなかなか面白い。とにかく、人をくった話が展開するのだ。 そして、この映画には当時、大きな反響を呼んでいた、ロバート・アルトマン監督の「M★A★S★H」の影響を大いに受けていると思う。 朝鮮動乱のアメリカ野戦外科病院を舞台に、そこに勤務する軍医たちの奇妙奇天烈な行動を描いた反戦コメディで、ブラック・ユーモアのタッチを含んで描いていた映画だった。 この「戦略大作戦」の中心人物たちは、ロバート・アルドリッチ監督の「特攻大作戦」のような無頼漢のならず者たちではない。しかし、女のことばかり考えている露骨さは「M★A★S★H」的であり、金が手に入ると聞けば、軍規もそっちのけで行動をし始めるのだ。 従来の戦争冒険アクション映画では、敵の要塞を破壊するとか、重要人物をやっつけるとか、軍の作戦に結びついた事柄が目的になっていたと思う。 だが、この映画は、莫大な金塊をいただこうという、全く個人的な欲望が目的なのだ。 そのチャッカリ屋の代表選手が、クリント・イーストウッド扮するケリーで、テリー・サヴァラスその他の面々を仲間に入れるのだが、「M★A★S★H」のドナルド・サザーランドも加わっており、部隊長が留守の間に勝手に戦車隊を出動させ、作戦本部にあった敵地の地図まで無断で持ち出し、おまけに、自分たちの行動を援護させるために砲兵まで抱き込んで、大砲をぶっ放させるのだから、「M★A★S★H」以上のデタラメさだ。 こうした図々しくも大胆不敵、無軌道もいいとこのイーストウッド・グループの作戦は、数人が密かに敵地へ潜入するなんてものではなく、堂々と敵の陣地を爆破して進み、工兵隊まで動員して橋をかけるなど、普通の戦闘と同じことになってしまう。 その上、これを司令部のおめでたい将軍が、正式の奇襲作戦だと思い込み、「よくやったぞ、勲章だ! 」と喜ぶのだから、いよいよあきれかえったお話なのだ。 デタラメと言えば、これくらいデタラメな戦争映画もないだろう。 しかし、この映画は、そういうデタラメなところが見どころなので、これに腹を立てるような人には、最初から関係のない喜劇なのだ。 それにしても、自分たちが命を捨て、血を流して戦った第二次世界大戦を、こなにふうに笑って笑って、笑い飛ばせるユーモア精神は、たいしたものだと思う。 そして、こんなふうに戦争を捉えて描くと、戦争というものが、いかに馬鹿々々しいものであるか、ということがかえって、くっきりと浮かび上がってくるのだ。
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