ジーザス・クライスト・スーパースター
ブロードウェイで流行したミュージカルを映画にしたフィルムで、日本人ではあまり親しみのない「キリスト最後の7日間」を描いています。 キリストを題材にした映画は多くありますが、こちらは当時ミュージカルという形でリリースしたことや、ポップスター的にイエスを扱うといった点でもめた経緯があります。とはいえ物語としての威力はすさまじく、特にイエスを裏切ったイスカリオテのユダの心は大変よく描かれているという良さが感じられました。 イエスは最後、あらゆる弟子たちに見捨てられ、鞭打ちの刑を受けたあと十字架を背負い、ゴルゴダの丘を登ります。この時が映画の最大の盛り上がりです。ユダはイエスの哀しい姿を見て、自責の念と奇跡が起こらないということに絶望します。この心の訴えをソウルフルに歌い上げるユダが派手過ぎていて、悲しすぎる印象を受けます。 イエスのことを最も愛し、信じていたのはユダではないかという視点がここでも生かされています。本当に自分たちを救ってくれるのはイエスなのか、それともローマ帝国なのか。ユダにはそれがわからなかったのです。 イエスの最後はみじめなものであったため、ユダはその姿により神への不信と叫びをつのらせます。ある程度新約聖書を読んでいると、このあたりは十分迫力が伝わってくる部分です。音楽も素晴らしく、終盤になるにつれて激しくなっていくあたりが、より悲劇性を増しています。
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