映画ポップコーンの評価
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時代は1962年、アメリカが最も輝いて美しかった頃のカリフォルニアの小さな町の一夜の若者たちの姿を、41のヒット曲にのせて描いた映画が、ジョージ・ルーカス監督の 「アメリカン・グラフィティ」ですね。 ジョージ・ルーカス監督が29歳の時に撮ったこの映画は、カリフォルニア州モデストで育ち、車と映画が大好きだったというルーカス自身の失われた10代の青春時代へのノスタルジーであり賛歌なのだと思います。 カリフォルニア山間部の小さな町を舞台に、夕陽の沈む頃から朝日の昇るまでの、ある一夜の出来事をこの映画は描いています。 この日は夏の終わりであると同時に、明日、東部の大学に出発しようとしているカート(リチャード・ドレイファス)とスチーブ(ロン・ハワード)にとっては、"故郷で過ごす最後の日"という特別な意味を持っていたのです。 時代は1962年。若き大統領ジョン・F・ケネディのもとで、アメリカが最も輝いて美しかった頃です。 ヴェトナム戦争はまだ泥沼化しておらず、少年たちは長髪ではなくポマードをたっぷり使った"グリース"で、女の子たちは"ポニー・テイル"の時代。 まだ、フリーセックスもドラッグもない時代。 彼らの若さは車と、そしてアメリカン・ポップスの音楽で表現していた時代。 この時代、彼らの世界はあくまでシンプルで、音楽はあくまでもスイートなのです。 映画のリズムは、当時の伝説的なディスクジョッキー、ウルフマン・ジャックのラジオ番組とそこで使われるヒット曲で描かれていきます。 「イージー・ライダー」と並んで既成の音楽の使い方としては、やはり斬新なものがあり、「ロック・アラウンド・ザ・クロック」からビーチボーイズの「オール・サマー・ロング」まで、当時のヒット曲が実に41曲も使われているのです。 旅立つ朝、故郷の町を飛行機で去って行くカートの姿にかぶさってスパニエルズの「グッド・ナイス・スイートハート」が流れるところでは、胸にこみ上げてくるものがあり、思わず目頭が熱くなってきます。 カートが追い続け、遂に手に入らない、"白いサンダーバード"は失われつつある青春の象徴なのかも知れません。 ドラマが終わって、最後に4人の主人公のその後を言葉とスチールで示すエンディングの演出もまた素晴らしい。 あのひょうきん者のテリー(チャーリー・マーティン・スミス)が、「ヴェトナム戦争に従軍し、行方不明」と語られる時、我々観る者はこのドラマの背後に、"語られない、もうひとつの大きなドラマ"を予感するのです。 製作がフランシス・フォード・コッポラ。無名時代のハリソン・フォードが出演していたのも嬉しいし、おませな13歳を演じたマッケンジー・フィリップスが非常に印象に残りました。
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