映画ポップコーンの評価
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この映画「赤い河」は、西部劇の古典的な名作で、一万頭の牛の大群をカウボーイたちが運んでいく過程での、"父と子の葛藤"を描きながら、格調高く、開拓期の西部を生き抜いた男たちの鉄のような意思を描き切った、まことに爽快な作品だ。 もうもうと砂塵が立ち込めているような、西部の風土感の捉え方も、実に見事だ。 "西部劇の王者"、ジョン・ウェインに絡む、若きモンゴメリー・クリフトが西部男に似つかわしいとは言えないのですが、それが逆に"新鮮な魅力"となっているのが不思議です。 ジョン・ウェイン演じるダンスンと、モンゴメリー・クリフト演じるマットは義理の親子。 インディアンに襲われた幌馬車隊のたった一人の生き残りの少年をダンスが引きとって養子にしたのです。 カウボーイのダンスンは、恋人をインディアンに殺されるという悲惨な体験を踏み越えて、テキサスに一代で大牧場を築き上げる。 しかし、折しも南北戦争の敗戦のあおりをくらって、南部では牛が売れず、食糧不足の北部に売るにしても、鉄道のある町まで、牛の大群を運んで、延々数カ月の大旅行をしなければならず、途中には強盗団やインディアンもいて、危険極まりない状況になっている。 しかし、主人公のダンスンは、養子のマット以下、多くのカウボーイたちと、この冒険に踏み切ることに--------。 この途中の、牛の大群の暴走、インディアンの襲撃、男同士の友情など、勇壮でダイナミックな見せ場がいくつも用意されていて、堂々たる正攻法のリアリズムで、当時の開拓民の苦労やユーモアを再現しようとしているところが、実に素晴らしい。 しかし、このダンスンは、力強く頼もしい男だが、独裁的で部下たちの気持ちを無視して、敢えて危険な道を選ぼうとし、逃げる部下を射殺しようとさえするのです。 そこで、養子のマットがカウボーイたちの期待を担ってダンスンを退け、自らリーダーになるのです。 結局、最終的にダンスンとマットは壮絶な殴り合いの末に和解し、ダンスンがマットを一人前の男として認めると共に、若い時の恋人を死なせたという心の傷のため、性格的に異常になっていた彼が、やっと心の健康を取り戻すという、実にいい場面で幕を閉じることになるのです。 このように、この映画「赤い河」は、勇壮でダイナミックな活劇シーンも素晴らしいが、強くて英雄的なジョン・ウェインの父と繊細で勇敢な養子・モンゴメリー・クリフトの"父と子の葛藤"という、愛憎が複雑に絡みあった危険な関係を軸に、時代の歩みと共に考え方の違う新しい世代が登場し、古い世代にとって代わってゆく、そのドラマが、一本がっしりとした背骨をこの映画に通しているのだと思う。
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