日本映画史に残る大女優にして日本映画界における女性監督のパイオニア的存在、田中絹代が今東光の同名小説を映画化し、1962年に発表した監督第6作にして最後の監督作品。華麗な桃山文化を背景に千利休の娘、吟の悲恋をヒロインの視点から繊細に描く。吟に有馬稲子、吟が思いを寄せるキリシタン大名、高山右近に仲代達也。撮影は『人間の條件』(1959,1961)、『怪談』(1965)の宮島義勇。2021年に4Kデジタルリマスター版が作製され、第35回東京国際映画祭日本映画クラシックス部門田中絹代特集で上映された。天正十五年。豊臣秀吉の茶頭・千利休の娘、吟は、キリシタン大名・高山右近を思い続けていたが、妻のある右近は吟の思いを受け入れることは出来なかった。そんな折、利休は石田三成から吟の縁談を持ちかけられる。気の進まぬ吟は、必死の思いで右近にその思慕を打ちあけたが、右近は嫁ぐよう吟にすすめるのだった。2年後、廻船問屋万代屋宗安へ嫁いだ吟は、右近への思慕をたちきれず、そんな吟に宗安は、放蕩三昧の生活だった。ある日、宗安が招いた茶会の席上、秀吉は吟を見初め、自分の侍女にするように迫るのだった…。
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