自意識の肥大化とマウンティング
2021年2月4日 14時18分
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総合評価:
4.0
同名の朝井リョウさんの小説の映画化です。今や主役級の実力派の俳優さんが揃っており見ごたえがあります。佐藤健演じる二宮拓人は就活の時期を迎え、友人の光太郎、拓人が想いを寄せる瑞月、その友人の理香、そしてその彼氏の隆良を就活仲間として情報交換しながら内定をめざします。爽やかな設定とは裏腹に現実と理想のギャップや、マウンティング、各々の自意識が交錯し徐々に不穏な空気感が漂います。
SNSが全盛期かつ氷河期の時期の就活を経験しているので、登場している学生たちのやり取りにはヒリヒリしました。自分の経験とも重なる部分もあり、傷口をえぐられるような気持ちで見ていました。ただ、振る舞いは様々ですが皆必死で憎めません。大学時代で自意識が膨れ上がっている中で、突然就活という型に押し込められ、社会に評価される側に回ります。何が評価されているのか分からず“何者”かになろうとしますが、何者にもなれず上手くいきません。自分とは何なのかを内省的に見直し、丸裸にされるような気持ちになりました。