Disney's クリスマス・キャロル
金がすべてで、家族を持たず、人とのきずなに背を向け、ただ己の金銭欲を満たすためだけに生きるスクルージ(ジム・キャリー)は、街一番の嫌われ者。あるクリスマス・イブの夜、かつてのビジネス・パートナーの亡霊が現われ、スクルージを彼自身の過去・現在・未来をめぐる時間の旅へと連れ出す亡霊にとりつかれると予言する。
19世紀の文豪ディケンズによるベストセラーが、ディズニーのCGによって生命を吹き込まれ21世紀に甦ったかのようでした。加速する高齢化や薄れていく人と人との繋がりといったストーリーの根底で扱う社会問題は、現代のほうが一層深刻なのかもしれません。 クリスマスの夜が迫ってロンドン全体が浮き足だっている中で、ひとり自宅に引きこもり暖炉の前に座り込むエベニザー・スクールジだけは厳めしい顔つき。たとえ大きなお屋敷に莫大な財産を貯めこんでいたとしても、心の中の隙間だけは埋められないことを痛感します。 死んだはずの共同経営者マーレイが突如として目の前に現れるシーンは、原作ほどに陰惨としたムードはありません。スクールジの心を動かすために代わる代わるやって来る「過去」「現在」「未来」の3人組も、亡霊というよりも案内人のようで親しみが持てます。悩んだ末にスクールジが下したひとつの決断には、いかにして他の誰かと幸せや感動を分かち合うのか考えさせられるでしょう。
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