ジェームズ・ボンド映画で初めて、アストンマーティンの4種類の車種が登場します。その車種とは、クラシックなシルバーバーチのAston Martin DB5、クラシックなカンバーランドグレーのAston Martin V8、Aston Martin DBS Superleggera、そして近日発売予定の新しいミッドエンジンのハイパーカー、Aston Martin Valhallaです。
本作では、公式のジェームズ・ボンド・シリーズで初めて女性の00エージェント・キャラクターが登場します。そのキャラクターは女優のラシャナ・リンチが演じるノミで、Entertainment Weeklyのビデオ特集「'Around the Table with No Time to Die' 」(2020年1月21日)のインタビューで、本作では00エージェントを描いていると明言しています。
初期のボンド映画では、S.P.E.C.T.R.Eのエージェントはしばしば金の「悪の指輪」を身に着けていました。アラステール・ドーガル著「James Bond: The Secret World of 007」(2006年)によると、「S.P.E.C.T.R.Eのトップオペレーター、そして(エルンスト・スタヴロ)ブロフェルド自身は、世界の犯罪の最も不透明な深みに触手を伸ばす組織の象徴として、独特の蛸リングを付けることで認識できることがありました。」とあります。
以前のジェームズ・ボンド映画への言及がいくつかあります。オープニング・クレジットは『007は殺しの番号』(1962年)と同じ色のドットで始まり、映画の終わりは『女王陛下の007』(1969年)と同じルイ・アームストロングの曲「We Have All the Time in the World」、映画のオープニングシーンは『007スペクター』(2015年)のマドレーヌが子供の頃に男が家に来たと言った言葉に準じている、Mのオフィスには彼の前任者の写真が出てくる、などです。バーナード・リー、ロバート・ブラウン、デイム・ジュディ・デンチ、サフィンの隠れ家はショーン・コネリーのボンド映画、特に『007は殺しの番号』(1962年)(隠れ家、サフィンの部屋)、『007カジノロワイヤル』(1967)(血清を製造する洞窟)のケン・アダムによるシーンを参照しています。
この映画には、初期のボンド映画『女王陛下の007』(OHMSS)(1969年)と共通するストーリー要素がいくつもあります。それらは以下の通りです。ボンドがトレイシーに言ったように、ボンドがスワンに「私たちには世界のすべての時間がある」と言うこと、『女王陛下の007』の音楽テーマが全編にわたって流れること、どちらも悪役が生物戦争を企てること、多くのボンド映画に比べてエンディングがダウンビートで、ボンドが新しい家庭生活を始めようとするときに重要人物が最後に死ぬこと、エンディングクレジットでルイ・アームストロングのテーマ曲「All the time in the World」が流されることです。
サフィンの秘密基地とその湾は、「007 スペクター」(2015)のブロフェルドの円形の袋小路の隕石クレーターの砂漠基地の隠れ家と同様、CGIの構成が主体となっています。現実のサフィンの隠れ家は、ノルウェーとアイスランドの間に位置するデンマークの自治領であるフェロー諸島のカルソイ島のトローラネスにあります。フェロー諸島のウェブサイト「Guide to the Faroe Islands」には、こう書かれています。「カルソイ島は『007ノータイム・トゥー・ダイ』では非常に脚色 されています。村の唯一の産業は農業であり、港はありません。」
豆知識・トリビア
この映画では、ジョン・バリー(音楽)とハル・デイヴィッド(作詞)が、ジェームズ・ボンドの名作「女王陛下の007」(1969年)のために書いた曲「We have all the time in the world」をさまざまな形で参照しています。この映画での引用は、歌詞と音楽の両面で行われています。エンディング・クレジットの冒頭で、ルイ・アームストロングのオリジナル・レコーディングが流れます。