ロッキー2
アポロとの死闘で判定負けしたロッキーは、危険なボクシングから足を洗い、恋人エイドリアンと結婚。正業に就いて家庭を築こうとするが、ボクシング一筋に生きてきた彼はどんな仕事をしてもうまくいかない。一方、無名のロッキーをKOできなかったアポロはチャンピオンとしてのプライドを打ち砕かれ、評価も人気も失っていた。復讐に燃えるアポロはマスコミを使ってロッキーを挑発、再戦のリングに引きずり上げようと画策する。
この「ロッキー」の続篇、「ロッキー2」は、シルヴェスター・スタローンが主演・脚本に加えて演出も担当している、ワンマン映画ですね。 「ロッキー」の後、主演した「F・I・S・T」も、監督兼任の「パラダイス・アレイ」も、今一つパッとしなかったスタローンとしては、なんとしても、この映画を成功させたかったに違いありません。 彼のそんな初心に帰った、その気迫が、作品の出来は別としても、この映画の強烈な熱気となって表れていたと思います。 物語は、前作のあの感動的なクライマックスから始まります。 あのチャンピオン・アポロとの死闘。駆けつける恋人・エイドリアン。 予想以上の頑張りを見せたロッキーは、一躍、人気者になります。 CM出演の話もきたし、家も買った。 エイドリアンと結婚し、彼女は愛の結晶を身ごもります。 そんな中、アポロは再試合を求めるんですね。 あの時、ロッキーを叩きのめせなかった不満。 つまり、焦りを露わな怒りに変えての挑発なんですね。 だが、ロッキーは、この挑発には乗らない。 エイドリアンとの約束があるからだ。 しかし、生活は次第に苦しくなり、彼は精肉工場や沖仲仕などの肉体労働で働くが、うまくいかない。 妻も身重のまま、ペットショップで働きます。 とうとうロッキーは、再試合の調印をしてしまう。 それを知った妻は、倒れて早産、昏睡状態のまま、生死の境をさまようことになるのです。 神の前で、妻の蘇生を祈るロッキー。 やがて、意識を取り戻した妻は、ロッキーの手を握りしめて、ひとこと言う。 「私とベビイのために勝って」。 あまりにもベタな場面ですが、でも、いい場面ですね。 そして、これからが、レビューでも触れられていたように、アドレナリンの上がる、怒涛のいい場面へとなだれ込んでいきます。 朝陽を背に、力いっぱいのトレーニングをするロッキー。 人間、やる気を起こした時の爽快な感情の高まりを、映像のリズムに再現した見事な場面ですね。 そして、チャンピオン・アポロとの激闘、勝利。 恐らく、公開当時、アメリカの映画館では、観客のもう総立ちの拍手が鳴り響いていたでしょうね。 もう、本当にベタな演出なんですが、観る者の心理を十分に読み込んだ、うまい盛り上げ方ですね。 それだけに、当然、結果は予想がついていたにもかかわらず、でも、わかっていても、ロッキーに声援を送りたくなる魅力を、この映画は持っているんですね。 裏町で、力いっぱい生きて行く勇気。土壇場で立ち上がる、その意欲。 ストレートに、素直に、観る者の心に響いてきます。 映画を観るという行為の中で、これはやはり、大切な事なのだと思いますね。
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