俳優陣の演技は素晴らしいけど人を選びそう
2021年9月24日 15時10分
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総合評価:
4.0
1992年に公開された同名の西部劇映画が原作ですが、今作では舞台を明治初頭の北海道に置き換え、登場人物もそれに合わせて変えられています。
基本的には、主人公の釜田十兵衛が賞金稼ぎとして娼婦を傷つけた男を追うロードムービーですが、幕末期の新政府軍との戦いを期に刀を置いた旧幕府軍残党の兵士が再び刀を持ち血生臭い戦いの世界に舞い戻る話でもあります。
未開拓で雪も残る北海道を舞台にしているためか全体的に暗く重い雰囲気が続き、やや残虐な描写もあるため見ていると少し気が重くなります。
しかし、渡辺謙、柄本明、柳楽優弥といった俳優陣の演技は素晴らしく、特に渡辺謙はその渋さとイケオジ振りを遺憾なく発揮しています。
また、この映画ではアイヌ民族の要素が多く組み込まれており、柳楽優弥が演じる沢田五郎はアイヌと和人(日本人)のハーフですし、道中でもアイヌコタン(集落)の描写があります。
アイヌ以外でも舞台となる場所に大都市等は少なく、寒村や小さな町が多いため当時の風景や習俗が見られるのは面白いところです。
ただ、和人によるアイヌ民族差別の描写も多く、前述の暗く重い雰囲気もあり、全体的に人を選びそうな映画ではあります。