「凶悪」とはなにか
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月7日 14時38分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
実際にあった事件がモデルとのこと。
主人公・藤井は雑誌記者。彼の元に死刑判決をうけた須藤という人物から手紙が届きます。
「先生」と呼ばれる人物が、犯罪に大きく関係していて「シャバで暮らしている」という告発。
それを追う物語です。
犯人たちが犯す殺害とその方法がとにかくエグイ。
見ていて気分が悪くなるほど。
その「凶悪」さには怒りすら感じて「こんな人たちはみんな死刑にすればいい」と思ってしまいます。
藤井が事件の取材を続けていくうちに、人相が悪くなっていくのがいいです。
事件はその取材のスクープから発展し「先生」も逮捕されます。
「やったね!」と思ってしまうのが怖い……。
なぜなら、最後のシーン。
犯人が藤井に言うんです。
「俺たちを殺したいと一番思っているのはお前だ」というような台詞を。
そこで画面は切り替わり、面会室の藤井側(つまり善なる方)を拘置所側(悪とされた方)から観る視点になります。
彼らが犯した事実は許されることではありません。
昨今でも何か重大な犯罪が起きると、人々は「死刑にすればいい」と口々に言います。
善なるつもりが「凶悪」さを秘めているという事実に気づいてしまう怖い作品です。