巨匠スピルバーグの原点!
2021年8月26日 21時48分
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総合評価:
5.0
1971年、若き日のスピルバーグ監督が手掛けた不条理サスペンス
原作・脚本は「ヘルハウス」のリチャード・マシスン。
もともとはTVの2時間ドラマだが、あまりの出来の良さから劇場公開され、アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭第1回のグランプリに輝いた。
アメリカの片田舎の荒涼とした砂漠に現れた、赤い小さな乗用車とこげ茶色のモンスタートラック。
些細ないざこざから悪夢のような追跡劇が始まる。
全編ほぼセリフ無し、砂漠の一本道で車2台がひたすらチェイスするだけという低予算自主映画のような世界なのだが、「追う/追われる」という映画の原始的な面白さに満ちていて、グイグイとスクリーンに引き込まれる。
疾走する2台を追いかけるカメラワーク、編集、音楽の使い方。緊張と緩和のタイミングが絶妙だ。
後年の「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」にも通ずる「巨大な何かに追われる恐怖」を鮮烈に描写する、25歳のスピルバーグの才能の煌めき!
何度繰り返し観ても面白い、サスペンスの原液のような傑作である。