「幸せ」とは何か。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月18日 21時59分
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総合評価:
5.0
いわゆる「障害者」である、フィリップにはお金があり、「最高の」使用人がいて、良質な介護を受けることができているが、とても幸せそうには見えない。それは「不自由だから」だろうか。しかし、「不自由である」ということそのものが彼を不幸にさせているのではないのだということが分かる。彼を不幸にさせているのは、周りの人間の偏見や過度な気づかい、憐れみや同情である。ドレスにはそのようなものがなかったのだ。ドレスに障害に関する知識がなかったのかもしれないが、フィリップにとって、たとえ介護が下手であっても、彼といることは心地よいのである。(ドレスが成長していく過程もまた面白い)
どんなに便利になって、「不自由さ」が軽減されても、「心の障壁」がなくならなければ、幸せにはなれないのかもしれない。現在は、多様性の尊重がうたわれている。障害を持つ人が生活しやすい社会にしていこうということが言われている。しかし、そうした試みが逆に生きづらさを感じさせてしまうかもしれない。そういったことを考えさせられた映画であった。