見ていて、目を背けたくなる映画であった。次々と命を落としていく少年兵たち。ドイツは第二次世界大戦で敗戦した。第二次世界大戦に対するドイツの責任は大きいのは確かだ。ヒトラー、そしてナチスだけでなく、それを支持してしまった一般大衆にも責任はあるのかもしれない。しかし、捕虜とされたドイツ少年兵は、果たして「悪者」なのだろうか、彼らに責任を問えるのか。残酷な仕打ちを受ける彼らを私は責めることはできなかった。一方、戦争捕虜に地雷撤去などの過酷な労働を強いるデンマークの軍人たちは正しいのだろうか。戦争は、敗者が悪で、勝者が正義なのか。そうとも思えないのでる。映画を見ていた私は、デンマークの軍人たちが「悪者」にも見えた。果たして、誰が悪いのだろうか…。結局、戦争には、「虚しさ」しか残らないのである。
この映画は戦争の悲惨さを啓蒙する、「戦争映画」であるといえるが、「戦後」に焦点を当てている点に大きな特徴がある。戦争の悲惨さを空爆や、原子爆弾など戦争中の被害に注目して伝えることはできる。しかし、本作は戦後処理が話題となっているのだ。単なる戦争被害ではなく、戦争の虚しさを教えてくれる。同時に、人間はなぜ戦争をしてしまうのか、人間の善悪の2面性についても考えさせられる。決して明るい作品ではないが、「戦争映画」として、ぜひ多くの人に見てもらいたい作品である。