「繋がって」ますか?
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月20日 12時41分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
この作品をシンプルに表現すると、作中の人物のセリフに集約されます。
「人々はスキだらけ」であり「自分だけは狙われない」と思っているということ。
作中ではネット上のトラブルに遭った3人を中心に描かれています。
動画チャットを用いてセクシーな姿を見せ、女性たちから金銭をもらう少年と、彼を取材する女性。
子どもを失った消失感からチャットサイトである男性と出会った妻と、それが原因でキャッシュカード情報などを抜き取られた夫婦。
そして物語の主軸になるのが、いたずらで陥れられ、自殺未遂した少年・ベンです。
いたずらをしたのはふたりの少年。
彼らは日頃からいたずらをしていたのですが、とあることからベンに対し、女性を装ってチャットサービスで連絡をいれます。
ここまではほんの出来心だったのでしょう。
しかし、いたずらは過激になり、ベンは少年たちが演じる「女性」へ自身のセクシャルな画像を送ったことから破滅へ向かっていきます。
この辺りは日本でも現実に起きていることであり、胸の痛い想いで観ました。
この物語にでてくる3人の人物は特別に変わった人間ではありません。
普通にいそうな「人間」です。
しかし「画面」を通して接した時、人は時折相手が「人間」であることを忘れるように思います。
それがこの物語の登場人物たちに降りかかる災厄。
ネットで「繋がっている」ことが人として「繋がっている」というわけではないと痛感させられる作品でした。
映像も大変良く、見ごたえがありました。