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「あまりにも魅力的なダーク・ヒーローの誕生「ダークマン」」 ダークマン dreamerさんの映画レビュー

ダークマン DARKMAN

あまりにも魅力的なダーク・ヒーローの誕生「ダークマン」

2024年7月6日 10時56分 役立ち度:0人
総合評価: 4.0
この映画「ダークマン」ほど、サム・ライミ監督のコミック・オタクぶりを発揮したものはないと思います。

全編がまさに良質で、破天荒な面白さに満ちあふれた"コミック・ブック"なんですね。

「超人ハルク」や「スワンプ・シング」そのままに、その設定を非常にうまく組み合わせて、更に魅力的な"ダーク・ヒーロー"の存在を描き出していると思います。

ガーゴイル像よろしく、ビルの屋上で地上を見下ろしながら悩む姿は、コミックのヒーローだけが許される特権だ。
そして、それだけでは終わらずに、一種のフランケンシュタインものとしてストーリーを練ったところに、サム・ライミ監督の手腕が光っている。

科学者でありながら、自らの境遇をどうにもできない苦悩。
感情が昂ぶると、アドレナリンを大量に分泌して、化け物と化してしまうことへの恐怖と苦悩。

そうした要素をあぶりだすことで、サム・ライミ監督は、実に魅力的なホラーのキャラクターを生み出すことに成功していると思います。

いかにも良心的な科学者ペイトンに、リーアム・ニーソンを起用したことも大成功で、観ている側はダークマンになる以前の彼の笑顔を知っているだけに、悲痛な思いを彼と共有できることになるのだ。

サム・ライミ監督の演出は、ここに来て早くも円熟の境地を見せており、画面をオーバーラップさせる、彼のお得意の手法はもとより、十八番のシェイキーカム撮影や、対象を歪ませる画面効果などを実にさりげなく使っており、とにかく全編が"コミック的映画手法"で貫かれているんですね。

更に今回は、バジェットでの制約が緩かったとみえて、後半にはヘリコプターを使ったアクションなどを盛り込み、かなり派手になっていて、そして、実にダイナミックなのだ。

ペイトンのラボにある人工皮膚再生装置のように、随所で見せるSFXもなかなか小技が効いていて、その使い方が実にうますぎる。

彼が撮った「死霊のはらわた」シリーズもそうだが、サム・ライミ監督は、SFXはただのツールにすぎないと考えているようで、決してそれに頼ったフレームを作らないのだ。

そして、ラストシーンで、振り返ったペイトンに被る「ダークマンと呼んでくれ」というセリフは、このヒーローの"深い哀しみと運命"を漂わせていて、見事なほどハマっていると思います。
詳細評価
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