閉ざされた寒村に新風を吹き込む
2021年8月4日 20時21分
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総合評価:
4.0
若干14歳にして一家の生活費を稼いでいる主人公のウィリアム・カムクワンバですが、文句ひとつこぼしません。何とか父親が前期の授業料だけは工面してくれたものの、学費の未納によって早々と地元の中等学校を退学させられてしまう序盤のシーンが切ないです。
そうかと思えば大学まで進学する同級生がいたりコネで農業省へ就職する知り合いもいたりと、アフリカの小国にも格差社会の広がりを痛感してしまうでしょう。誰しもが平等に電気を使えて快適な暮らしを送れるようにという切実な願いが、周囲の人たちからはなかなか理解されないのがもどかしいですね。
スクラップになった自動車のバッテリー、残量がゼロになった電池、乗り捨てられた自転車のダイナモ。「不要品」のレッテルを貼られたガラクタを懸命にかき集めていく、好奇心旺盛な少年の横顔に胸が熱くなります。驚くべきアイデアによって組み立てられていくウィリアムの発明品が、小さな村に大きな奇跡を起こす瞬間を目に焼き付けてください。