ノンフィクションかと思ってしまうほどのストーリー
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年12月23日 15時45分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
35年前に実際に起きた事件をモチーフに描かれた本作は、もちろんフィクションですが、わざとらしい過剰な演出や物語の展開はなく、まるでノンフィクションで実際に関わった人達全員のインタビューを元に作ったのでは?と思えてきてしまうほど、内容は重厚な割に、テンポがよく、途中で飽きる事なく、作り込まれていた作品だったと思います。
事件当時、犯行声明のテープに声を吹き込んだ子どもが自身であることを知り、とうに過去のもので無関係と思っていた事件に思わぬ形で関与していた曽根(星野源)と、ひょんな事からこの事件を再度調査することになった新聞記者の阿久津(小栗旬)。二人はそれぞれの経路から調べていく中で繋がっていき、共に事件の真相を知るために手を組みます。
少しづつ事件の真相が明るみになる中、自分と同じ様に、事件に巻き込まれた人達のその後を知り、後悔とも懺悔とも言えない複雑な感情を持ってしまいます。
思い描いていた未来を捻じ曲げられ、行き詰まった人生を知り、ごくごく普通の幸せを手にしていたその時の曽根の気持ちはこの作品の見所の一つだと思います。
正直、今でも振り返ると胸を締め付けられます。
タイトルは「罪の声」ですが、この作品で描きたかったのはこの事件に期せずとも関わってしまった人達の「心の声」だったのではないでしょうか。
この物語がどんな結末を迎えるのか、ぜひ、見て頂きたいです。
昨今キャスト頼みの薄口の作品が多い中、エンドロールまで、本当に丁寧に作り込まれた作品でいいものを見たな、と素直に思える作品でした。是非。