信仰とは?神とは?
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月16日 23時07分
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総合評価:
4.0
キリシタン弾圧下の長崎で、隠れキリシタンたちが次々と、目を覆いたくなるような拷問、処刑を受けるのですが、この映画は常に神とは何か?信仰とは何か?人とは?命より大切なモノはあるのか?と観ている側に問いかけてきます。
憎むべき悪とは、信仰ではなく、人の恐怖心ではないか?罰せられるべき罪は、信仰ではなく、知らないと言う事ではないか?と、最後まで私たちに問いかける映画です。
映画の中で、キリシタンのキチジローという、裏切り者が出てきます。自分が助かりたいがために、何度もみんなを裏切ります。
キチジローはずる賢い悪人の様に思えますが、だれが彼を責める事が出来るでしょうか?キチジローこそ助かりたいという人間の姿そのものなのです。
キリシタンたちを苦しめる冷酷な奉行も登場しますが、言っていることは間違ってない部分もあります。
誰も悪くないのなら、一体どこに罰するべき悪があったのだろうかと、観終わったあともずっと考えてしまう映画です。
因みに原作は遠藤周作ですが、監督はマーティン・スコセッシとあり、迫力があって見ごたえがあります。
沈黙は、宗教、信仰の話ですが、人はわからないもの、知らないもの、経験のないものに恐怖します。しかし、怖いのは、本当にわからないものやしらないもの、経験のないものなのでしょうか?知らない事に恐怖し、それを知ろうとしない事こそ罪な気がします。それは宗教に限ったことではありません。
様々な意味で、記憶に残る映画になる事は間違いない作品だと思います。
イメージワード
- ・悲しい
- ・泣ける
- ・恐怖
- ・絶望的
- ・知的
- ・切ない
- ・スペクタクル