行き場のない彼女たちの行き着く先
2021年9月1日 11時46分
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総合評価:
4.0
「行きたいところはたくさんあるけど、行けるところは少ない」という、ヒロイン・加藤美樹が映画序盤でつぶやくセリフが都会の若者たちの閉塞感をうまく捉えていました。SNSに自画撮り写真をアップしながら、大人と子供の狭間で揺れ動く彼女の心境が伝わってきます。
映画監督を夢見るナガイヨシユキからダンサーの卵・ キダキクコまでと、渋谷のクラブに集まってくる美樹の仲間たちもモラトリアム感たっぷりですね。数多くの女性たちとくっついては離れてを繰り返すヨシダの、「お前だけ、違う」というひと言に「チワワちゃん」こと千脇良子がコロリと騙されてしまうのも無理はありません。建設会社の重役が政治家に献金する600万円など、誰しもが尻込みしてしまうのは当然でしょう。ただひとり臆することなくVIP席に乱入して、札束の入ったバックごとひったくって走り出すチワワちゃんが勇ましいです。
一攫千金で最高の夏を送るメンバーたちの、その後の分裂とドロドロの争いはかなり衝撃的ですよ。青春時代の終わりを告げるかのように物悲しく、多くを語ることのないラストシーンも忘れられません。