中国の教育問題にも踏み込む名作
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月7日 13時22分
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総合評価:
5.0
中国のいわば辺境の村。
そこの小学校では教師はひとりだけ。
村の子どもたち全員を教師が教えています。
しかし、教師に少し事情ができ、一時的に長期の休みを取ることになります。
そこで代替の教師としてやってきたのはわずか13歳の少女・ミンジ。
彼女は「賃金を得たい」という希望だけで、教師としての志などはありません。
そんな彼女と生徒たちの物語です。
ミンジは「それなり」の仕事は一応していたのですが、教室の生徒のひとりが出稼ぎにいってしまいます。
「これでは正当な金額の賃金をもらえない」
彼女はそう思って行動を開始します。
そこからの展開が面白いです。
まず、街へいくためのお金が必要になってくるわけですが、レンガ運びの仕事をクラス全員でやって稼ぐことにするのです。
では、レンガをいくつ運べばいくらになるか。
皮肉にも、まったくやる気のなかったミンジが教えるそれは、実に実践的な算数の教育だったんですよね。
なんとかお金を工面し、街へ出たミンジ。
しかし、「あの子」はなかなか見つかりません。
お金のために探していたミンジですが、彼女が「あの子」を探すために頑張る姿には一途に彼を心配しているものも感じます。
都会から離れた村で教師を確保できない現状、子どもが出稼ぎにいくために教育を受ける権利を失っている現状も描き出されている名作です。