エネルギーの塊。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月22日 19時24分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
人を憎み続けるのって、ものすごくエネルギーがいることだと思う。この映画はそれをものすごく表しているような気がした。
辛い思いをした人がみんな、立ち直れる訳じゃなくて、そうでない人が、いっぱいいる。タイジは仲間と出会えて、背中を押されて、ようやく踏み出せた。仲間と呼べる人がいるって素敵だなと感じます。
海のシーン、太賀の演技も相まってすごくよかった。主演二人の演技がとにかくすごいです。リアルで隙がない。
『どうやって笑えばいいか分からなくなっちゃった』という彼の顔は本当に複雑で、改めてカメレオン俳優の凄さを感じた。
こういったヒューマンドラマには、ごく自然に恋愛や失恋が入っていたりする。最初会社の彼女がそういう立場なのかと勘違いしてしまったくらいには、ヒューマンドラマに対しての偏見があった。
恋愛が入って厚みを増す映画と、そうでない映画があり、ひねくれている私は後者の感情を感じてしまうことが多いけど、この映画は、テーマがぶれない。
母の愛を諦めない息子、一貫してずっとある。求めているのは愛でなく、母の愛。虐待というものは確かに根本にあるけれど、愛情がテーマなんじゃないかなあと思います。
父と母の喧嘩を、『相手を傷つけあっているように見えた』と表現するあたりも、この映画ならではだった。
この映画は
太賀、大優勝でした。