家族の庭
地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と、医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は誰もがうらやむおしどり夫婦だ。彼らは30歳になる孝行息子(オリヴァー・モルトマン)にも恵まれ、私生活は非常に充実していた。ある晩、ジェリーは同僚メアリー( レスリー・マンヴィル)を夕食に招待するが、彼女は酔ってしまい自分には男運がないと愚痴っていて……。
「家族の庭」は、家族とは何かという根源的な問いかけに、老いと孤独を絡ませた、マイク・リー監督の秀作だと思います。 監督が「秘密と嘘」や「ヴェラ・ドレイク」のマイク・リーなら観ないわけにはいかない、いや、何が何でも観るべきだと半ば強迫観念にかられて、劇場に足を運んだ作品が「家族の庭」だ。 案の定、それまでのマイク・リー監督の作品同様、画面の隅々にまで神経が行き届いた演出と、俳優陣の熟練の演技を堪能しました。 久々に映画が終わるのが惜しいと思えるほど、充実した時間を味わえましたね。 特に秀逸なのは、導入部。冒頭で「ヴェラ・ドレイク」の主演女優のイメルダ・スタウントンが、初老の患者役で登場するから、てっきりこの女性が物語を引っ張っていくのかと思いきや、場面は病院内の女性カウンセラーに移り、さらに彼女の同僚の中年女性を映し出す。 短いカットを重ね合わせるように、人間関係を明らかにしていく巧みな語り口。 やがて、この映画の主人公は、カウンセラーと地質学者の初老の夫婦であり、その一家に集う様々な人物の人間模様であることがわかってくる。 普通はあらかじめ出来上がった脚本に沿って、俳優に演技をつけていくものだが、マイク・リー監督は、まず俳優に即興で自由に演じさせてから脚本を書いていくという。 そこでは当然、俳優の裁量に任されるわけだから、自然といずれ劣らぬ演技派の勢揃いとなる。 夫のジム・ブロードベント、妻のルース・シーン、そしてほとんど主役ともいえる、妻の職場の同僚メアリーを演じるレスリー・マンヴィル。 最初の結婚に破れ、不倫の恋に傷つけられた独身の中年女性の悲哀を表現して、実に見事だ。 この映画のテーマは、ズバリ家族だ。 夫婦や親子関係を通して、家族とは何かという根源的な問いを投げかけるのだ。 さらに、撮影当時68歳という、マイク・リー監督の年齢を反映してか、そこに「老いと孤独」も加わり、現代人の「老い」の生き方を問うのだ。 それにしても、テンポの早い会話のやり取りや、そこで交わされるウィットと皮肉を込めたセリフの面白さは、他の追随を許さない。 そこに、イギリスだけでなく日本にも当てはまる、現代の”家族の肖像”を見る思いがします。
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