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「家族とは何かという根源的な問いかけに老いと孤独を絡ませたマイク・リー監督の秀作」 家族の庭 dreamerさんの映画レビュー

家族の庭 ANOTHER YEAR

家族とは何かという根源的な問いかけに老いと孤独を絡ませたマイク・リー監督の秀作

2025年5月15日 12時06分 役立ち度:0人
総合評価: 5.0
「家族の庭」は、家族とは何かという根源的な問いかけに、老いと孤独を絡ませた、マイク・リー監督の秀作だと思います。

監督が「秘密と嘘」や「ヴェラ・ドレイク」のマイク・リーなら観ないわけにはいかない、いや、何が何でも観るべきだと半ば強迫観念にかられて、劇場に足を運んだ作品が「家族の庭」だ。

案の定、それまでのマイク・リー監督の作品同様、画面の隅々にまで神経が行き届いた演出と、俳優陣の熟練の演技を堪能しました。
久々に映画が終わるのが惜しいと思えるほど、充実した時間を味わえましたね。

特に秀逸なのは、導入部。冒頭で「ヴェラ・ドレイク」の主演女優のイメルダ・スタウントンが、初老の患者役で登場するから、てっきりこの女性が物語を引っ張っていくのかと思いきや、場面は病院内の女性カウンセラーに移り、さらに彼女の同僚の中年女性を映し出す。

短いカットを重ね合わせるように、人間関係を明らかにしていく巧みな語り口。
やがて、この映画の主人公は、カウンセラーと地質学者の初老の夫婦であり、その一家に集う様々な人物の人間模様であることがわかってくる。

普通はあらかじめ出来上がった脚本に沿って、俳優に演技をつけていくものだが、マイク・リー監督は、まず俳優に即興で自由に演じさせてから脚本を書いていくという。

そこでは当然、俳優の裁量に任されるわけだから、自然といずれ劣らぬ演技派の勢揃いとなる。
夫のジム・ブロードベント、妻のルース・シーン、そしてほとんど主役ともいえる、妻の職場の同僚メアリーを演じるレスリー・マンヴィル。

最初の結婚に破れ、不倫の恋に傷つけられた独身の中年女性の悲哀を表現して、実に見事だ。

この映画のテーマは、ズバリ家族だ。
夫婦や親子関係を通して、家族とは何かという根源的な問いを投げかけるのだ。

さらに、撮影当時68歳という、マイク・リー監督の年齢を反映してか、そこに「老いと孤独」も加わり、現代人の「老い」の生き方を問うのだ。

それにしても、テンポの早い会話のやり取りや、そこで交わされるウィットと皮肉を込めたセリフの面白さは、他の追随を許さない。
そこに、イギリスだけでなく日本にも当てはまる、現代の”家族の肖像”を見る思いがします。
詳細評価
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  • 音楽
イメージワード
  • ・知的
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