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「繊細な演出が輝るラヴ・ストーリーの傑作」 ラヴソング atchinさんの映画レビュー

ラヴソング Comrades: Almost a Love Story

繊細な演出が輝るラヴ・ストーリーの傑作

2021年2月15日 14時34分 役立ち度:0人
総合評価: 5.0
天津の田舎に婚約者を残し、香港に出稼ぎに出てきた男、シウクワンは、
マクドナルドで働く女、レイキウと知り合う。
ボーイ・ミーツ・ガールで物語が始まれば、大体展開は予想できる。
この映画ももちろん、大きな脱線もなく、想定内に物語は進んでいく。
関係が近しくなり、やがてすれ違いが生じ、そして……という感じだが、
しかし、それでも面白いと思えるのは、演出がきめ細やかで繊細だからである。
例えば自転車に乗っている二人のショットであったり、
初めて二人がキスをするシーン。
特に後者は、実に繊細な感情のやりとりを表現している。
家にきたレイキウの帰り際、彼女に服を着せるシウクワン。
拙い手つきで、なかなか服を着せてあげられない。
しかしこれには隠された感情も表現されている。
そう、シウクワンとレイキウの思いである。
結局のところ、顔を近づけ合った時に二人はキスをする。
そして苦労して着せたレイキウの服を、今度は慌てて脱がそうとする。
下手にカットを割らないところがまた良い。
気持ちと行動が相反することによって何とも言えないもどかしさが強調される
このシーンは、二人の演技も実に素晴らしく、屈指の名シーンだ。

そう、やはりラブ・ストーリーは役者が良くないと何も始まらない。
この二人、特に自分の好みという訳ではないのだが、とてもいい味を出していて、
グイグイと引き込まれてしまった。
田舎から出てきた純朴な青年、シウクワンを演じるレオン・ライ。
故郷に婚約者を残してきたのだが、物理的な距離が
そのまま精神的な距離に変わっていってしまう。
どこの国でも一緒だよなあ、と思いつつ、その過程を見事に好演している。
片や同じ田舎から出てきたけれど、もっと野心的に成功を目指すレイキウを演じる
マギー・チャン。あれ、どこかで見た顔だな、と思ってたら、
ジャッキー・チェンの映画に出ていたことを思い出した。
アクション・コメディーの彼女もいいけれど、繊細な演技で見せる彼女も
とても良いと思った。

この映画は、通常の物語のラストに加え、おまけとも言える
二重のラスト・シーンが用意されている。
これから共に歩いていこうとする人との出会いは運命的なものと言えなくもない。
そんな人たちというのは、もしかしたら人生のどこかで出会っていることが
あるかもしれない。出会ってから結ばれるまでに、何度かすれ違いを繰り返すものの、
もしかしたらそれ以前からすでにすれ違いを起こしているのかもしれない。
そんなことを思い起こさせてくれるような、思わずニヤリとしてしまう
最後の最後のラスト・シーンも、これもまた名シーンと言えるだろう。
詳細評価
  • 物語
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  • 映像
  • 演出
  • 音楽
イメージワード
  • ・楽しい
  • ・泣ける
  • ・切ない
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