おじさんふたりの友情ストーリー(?)
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月30日 13時25分
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総合評価:
4.0
白石監督のモキュメタリー作品。白石監督といえばこの手法ですね。
ある大量殺傷事件。
その生存者に白石が興味を持ったことから話が始まります。
江野というその青年は、いわゆるネットカフェ難民。
この江野がいやーな感じでいいんですよね。
「ああ、一般社会では生き抜けないタイプね」と思わせる、精神的な幼さ、どこかおかしい精神バランスをうまく演じておられます。
彼は犯人によって背中になにかの模様を描かれ、次は自分の番だと告げられていました。
それを「自分が次に『やる』番だ」と思った江野。
江野はその事件から「奇跡を見るようになった」と言います。
独占取材を始めることになるのですが、江野がいう「奇跡」が始めはかなりしょぼいのが面白いです。
江野はちょっと仕事をしてお金が入ったからと、白石と周りのスタッフを飲みに連れていくのですが、その中の女性に対して高圧的にでるなど本当に人間としては稚拙。
彼に関することを調べていくうちに、彼の「計画」に加担するようになる白石。
この辺りのちょっと友情っぽい展開のもいいです。
この江野という人物は白石監督の「コワすぎ」の「最終章」にも出てきます。
そちらではかなり硬派な人物に生まれ変わっています。
併せてみるとおもしろいかと思います。
民俗学的な考証もでてきたりして、その辺りの謎解きも面白いです。
黒沢清監督もちらっとでてきますよ。