幸福の黄色いハンカチ
新車を買って、あこがれの北海道をドライブする欽也(武田鉄矢)は、一人旅の朱美(桃井かおり)をナンパして二人で旅を続ける。途中、出所したばかりの中年男・勇作(高倉健)と知り合い、3人は旅を共にすることに。やがて勇作は、「自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを掲げておいてくれ」と妻に手紙を書いたことを打ち明ける。
1977年公開の映画のため、流石に今見ると映像やプロット、演出等の古さが目につきますが、ストーリーはシンプルながらも非常に良いです。 当時の北海道を車で旅するというロードムービーの要素もあり、旅先での風景やトラブルも旅情を誘います。 そして、何と言っても主役の島勇作を演じる高倉健の演技力が素晴らしいです。 冒頭の出所後にビールを飲みラーメンをすするシーンはこれ以上ないほど美味しそうな食事シーンですし、長い刑期を終えて久々の食事という勇作の感動も伝わってきます。 他にも、温泉に入り布団に寝転ぶシーンは本当に気持ちよさそうでくつろぐ様子がよく分かりますし、逆に夜の旅館で騒ぐ鉄也を一喝する姿は恐ろしいまでの迫力です。 一方、夕張へ向かう車中で離婚した妻の光枝に会いに行くよう諭されても不安になったり、何度もやめようとしたり、心の迷いを捨てきれず葛藤する様子は彼の人間らしい弱さも見ることができます。 山田洋次監督はこの映画を「こじれた愛情の回復」と述べていますが、ラストシーンはその言葉を象徴するような構成で、何度もリメイクやリマスター版が作られるのも頷ける不朽の名作です。
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