狭い密室が舞台の殺人劇
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月5日 09時26分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
エレベーター内部で起きる、超常現象を含んだ「殺人劇」の物語です。
冒頭、スタッフロールとともに上下さかさまになった街の風景。
これは、物事の裏表を意味しているのでしょうか。
舞台はとある大きなビルのエレベーターです。
そこに偶然集まった男女5人ですが、エレベーターが故障。
そして少しずつ異常が発生していきます。
始めは単なる動作異常と思われたのですが、監視カメラをチェックしていた警備員のひとりが「あるもの」を目撃してからが怖い。
狭いエレベーター内部なのに、なぜか人が死んでいくんですよね。
犯人は分かりません。
この辺の描き方が面白く、画面が真っ暗な中でなにごとかが起きていることしか観ている側には分かりません。
監視カメラをみている警備員のひとりは、かなり信心深い性格。
彼はかなり早い時点から「悪魔の仕業だ」というのですが、当然相手にされず……。
警察や消防も出てきての大騒動となっていきます。
ここで「現実的な視点」と「超常現象的視点」の齟齬がでてきているのが面白いです。
しかし、やがて物語は後者へと進んでいきます。
実はエレベーター内部の人物は曲者ぞろい。
真相はやがて明かされるのですが、つまるところ「悪魔」は人間がもつ闇の部分を具現化したもの、ということなのかと思います。
最後に生き残った人物。
彼こそが、かなり罪深い人間です。
現場にいた刑事の過去との因縁があったその人物は、最後に刑事からある言葉をかけられます。
罪を認め、心からの贖罪をもったとき「悪魔」の姿は消えたのではないかと思います。