これが現実にあったというのが恐ろしい
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年7月20日 20時37分
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総合評価:
4.0
1920年代のアメリカの物語です。
主人公・クリスティンは電話交換手として働くシングルマザー。く
当時、この仕事は女性の職業の中では花形。
本作では様々な社会問題に焦点が当てられており、この女性の仕事のありかたもそのひとつです。
クリスティンは休んだ職員の代わりに急遽ピンチヒッターとして仕事に向かうのですが、帰ってくると息子のウォルターが消えていました。
ここからが色々と問題。
息子がいない、と警察に伝えても「24時間以内は捜索しない」と言われるのです。
6歳の子どもが消えているのにその答えとは何たる怠慢なのか。
そしてようやく見つけたという「ウォルター」は、息子とは全く違う子どもでした。
当然クリスティンは指摘するのですが、警察は集まってきているマスコミの手前「この場はとりあえず」と受け入れることを伝えるのです。
その少年はウォルターより身長が7cmも低く、歯の治療痕も違っていました。
更に学校の教師も「別人だ」と言うのですが……。
なんとクリスティンは「精神錯乱にある」として警察の手により精神病院に送られるのです。
この精神病院のありかたも現代では考えられないような患者の処遇で……。
本当にあり得ないことが続くのですが、なんと実話が元なのです。
かつてあった、警察の怠慢とその病理、精神科病院のお粗末さがくっきりと描かれています。
前半はかなり気分の悪くなる展開。後半からの巻き返しがいいです。
やや長い作品ですが、きっちりとストーリーが整っており見ごたえがありました。