生きるために
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月7日 09時53分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
劇中で描かれているクラスメイトとの関係性は、こんなことあったなぁ、こんな人いたなぁと誰もが思い当たる描写で、とてもリアルでした。些細なことがきっかけで、ある日急にひとりぼっちになる。いつの間にか取り返しがつかなくなって、昨日までの友だちが、突然顔を合わせてくれなくなる。殻に閉じこもって周りの顔にバツを付けてなんとか生きて、それでも死ぬことを決めた将也の気持ち。あの恐怖と孤独を経験したことのある人にとっては、苦しい内容かもしれません。
小学生の時から本当は誰よりも周りを見ている将也が、公園で硝子に声をかけるシーンが、不器用で痛々しいです。耳が聞こえない硝子の気持ちは、将也を通して観ている人に伝わってきます。そして硝子にとって、将也はただのいじめっ子ではなくて、大切な存在なんだと分かった時、なんだか救われた気持ちになりました。誰と一緒にいるかは自分で決めていいんだと思える作品です。
aikoさんの主題歌がぴったりで、エンドロールを観ながら胸に込み上げるものがありました。