戦争下だけども、人々の日常をみせてくれる所が気に入っています。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月13日 15時52分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
楽しいシーン・悲しいシーンどのシーンを切り取っても、すずの大切な日常が繰り広げられている所が気に入っています。もちろん、すず自身のおっとりとした口調とキャラクターが可愛いのも好きな点でもあります。
その当時の広島での人々の普段の生活が知れる所も興味深い点でもあります。
前半で、巷では平和主義で仕事が減ってどうしようかと思っていたが、そんな頃さえ懐かしいと言うおばあさんの言葉が胸に刺さりました。
お嫁に行った先で、自分に懐いてくれる晴美と共に被弾してしまったシーンが、真っ黒の中で白い線でもってその様子を描く手法に目が釘付けになり、これは小さな子供も観ている事を前提に描かれているのかなぁと思いながら見進めて行きました。時限爆弾が使われていた事は、この作品で初めて知りました。
しかし、原爆が落とされた後の孤児となった少女の、その母親のひどいケガの様子はハッキリと描かれていて、これだけは優しく描いてはいけないという作者の強い意思を感じました。
最後に他人でも家族となって行くのと、色々あったけれどすずが周作と離れ離れにならない終わり方には満足しています。
細かな事ですが、最初と最後の方で現実なのか夢なのか分からない感じでバケモノが出てきますが、私には本物語とは異質に感じ、ちゃんとすずの想像シーンとして表現して欲しかったです。