つぐない
1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女セシーリア(キーラ・ナイトレイ)は、兄妹のように育てられた使用人の息子、ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と思いを通わせ合うようになる。しかし、小説家を目指す多感な妹ブライオニー(シーアシャ・ローナン)のついたうそが、ロビーに無実の罪を着せ、刑務所送りにしてしまう。
激動の時代を背景にして小さな嘘と大きな戦争によって翻弄されていくヒロイン、セシーリア役のキーラ・ナイトレイに魅せられます。映画前半では名門ケンブリッジに通う知的で清楚な女子大学生、中盤以降では銃弾によって肉体的にも精神的にも傷ついた兵士を癒す勇敢な従軍看護師。 そんな変幻自在なセシーリアに想いを寄せながらも、身分の違いを気にしているためかあと一歩踏み込んでいけないロビーが焦れったいです。高級官僚の娘と労働者階級の息子という設定が、いかにも第2次世界大戦前後のイギリス社会を象徴していますね。すべての元凶であるセシーリアの妹・ブライオニーも、シアーシャ・ローナンが演じているために小悪魔のようで憎めません。 一度はバラバラになったセシーリアとロビーが、再びめぐり逢うことができるのかハラハラしながら観てしまいました。一見するとシンプルなこの映画のタイトル「つぐない」に隠された深く切ない真実が、数十年の時を超えて明かされる瞬間も圧巻ですよ。
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