恐ろしいほど多重に込められた「幸福な人生とは?」の問いかけに満ちた作品
2021年2月15日 15時09分
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総合評価:
4.0
役所広司がまさに役柄の「三上さん」そのもので凄い。
実に複雑な味わいで、幸、不幸は客観的に推し量れるものではなく、それを決めつけることなど不可能なことではないかと考えてさせられてしまう。
「三上さん」は本当にこれで良かったのか?、作中で三上は「偽善者なんぞと関わるのはごめんだ」という台詞を吐くが、周囲の人間がそうではなかったと断言できるのだろうか?。
我慢と忍耐をし続けて精神をすり減らしてまで「まともな生活」を送ることが本当にまっとうな生活なのだろうか?地獄というのはこの世界なのではないだろうか?。
私はこの作品がハッピーエンドだとはとても思えない、タイトルの「すばらしき世界」には物凄く多重に意味や皮肉が込められていると感じた。
タイトルなんだからそういうものでしょ?と言われるかもしれないが、あの、キマリすぎな程の題字の表しかたを見ると、とてもそうとは思えず、なんだか恐ろしさを感じてしまうのです。