アハマッドの不安げな表情が、たまらなく愛おしい
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月15日 20時48分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
主人公アハマッドが、友だちのノートを間違えて持って帰ってしまった事で、ノートを返そうと、友達の家を探し回るというだけのお話なのですが、アハマッドの不安な気持ちが手に取る様にわかる映画です。
子供は子供なりに、色々大変だって言うのに・・・大人はちっともわかってくれない・・・。私もこんな風に感じていたことがあったなぁ~。みんなアハマッドの様に子供時代があったのに、いつの間にか忘れてしまっている・・・観ながら子供時代が蘇ってきます。
そして誰しも幼い頃に、一度は経験したであろう迷子になった時の不安と恐怖。あの時の気持ちを思い出しました。
とても、地味な映画ではありますが、日常の中にたまたまカメラが回っていただけみたいな、ごくごく自然な雰囲気で、映画であることも忘れてしまいます。
探し回るうちに、日が暮れて夜になり、アハマッドが段々不安げな表情になっていき、泣き出しそうになっている姿が、愛らしくて抱きしめたくなります。
子供の目線に立ち返っても、親の目線でハラハラしながらアハマッドを見守る事も、両方の楽しみ方が出来る映画だと思います。
あと、素晴らしいのは、イランに行ったことはないのですが、何故だかとても懐かしい気持ちにさせられることです。
映画の中の風景や人々、空気、前から知っている気がする!と思わせてくれる不思議な映画です。
子供から大人までみんなが楽しめる映画だと思います。