丁寧に一つの家族を描いた堅実な一本
2021年8月4日 15時15分
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総合評価:
5.0
シングルファーザーが周囲の人々の協力を得て娘を中学に入学させるまでの10年間の軌跡を描いた物語です。
働きながら合間を見て保育園の送り迎え、各種行事に対応するために難儀(平日は会社勤務だから)しつつも娘を育てる主人公の姿に元気づけられます。
境遇が境遇のためか娘も周囲とは浮いた存在となりやがて壁ができてしまうという展開が中盤にありますが、娘も状況に対応するために大人にならざるを得えなかった(子供のままじゃいられなかった)というのもどこか切ないです。
演出面にも工夫が見られ、最初の俯瞰からの自宅マンションからの道がOPとEDでリンクしていたり、お義父さんがボーリングをやっている2シーンがその後別々の展開になるなど対比を感じます。
10年間のうちに起こる様々な変化がまたリアルでまるで世間の一つから採取した一つのサンプルのような生々しさがあります。
主演の山田孝之さんの見た目も経年変化で白髪が混じったり貫禄あるオールバックに近い髪型になったりとさすがカメレオン俳優だけあるなと思いました。
淡々と流れる展開の中にリアルな人間ドラマが展開される堅実な一本です。