映画におけるサーヴィスについて
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月27日 03時40分
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総合評価:
4.0
スピルバーグ監督とトム・クルーズは、ハリウッドでも屈指のサーヴィス精神溢れる二人だろう。
フィリップ・K・ディックの短編小説を映像化した今作では、映画業界の頂点に立つ二人の「顧客サーヴィス」を、ゲップが出るほど堪能できる。
追っ手から逃げるトム・クルーズ。ありきたりには逃げない。
格闘しながら「嘔吐棒」で相手を嘔吐させ、中空を飛びながら敵の体にしがみつき引きずられ、非常階段を駆け上りぶら下がり、窓ガラスや部屋の天井をブチ破り大乱闘。息つく間もなくハンバーグとサックス少年のギャグを挟み込み、やっと追っ手を振り切った……と思った次の瞬間にはコリン・ファレルが車で追いかけてきて、自動車工場での危険極まりないアクションシーンへとなだれ込んでいくのである。
スピルバーグの持ち味であるギャグと恐怖とハイテンポ演出と、クルーズのもはや偏執狂的とも思えるアクションへのこだわりが融合し、「超一流同士が手を組むとここまでやらなきゃならんのか!」と映画館の座席に押し付けられるほどに圧倒されてしまう。
そして「知への欲求」を鮮やかに描いて、不意打ちのように感動させられるラストシーンは、山盛りのご馳走の後のデザートのようだ。
同じ料金で映画を見るなら、なるべくコスパの良い映画を選びたいものである。
イメージワード
- ・楽しい
- ・不気味
- ・恐怖
- ・不思議
- ・かっこいい
- ・スペクタクル
- ・ゴージャス