女性の解放
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月21日 15時13分
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総合評価:
4.0
異物を飲み込むことで日頃の鬱憤を晴らす女性を描いた恐ろしい作品ですが、作品を見終えた時の印象は爽やかなものでした。
その理由は言葉でうまく具現化出来ませんが、主人公の女性の溜め込んでいた思いが解放されていく話だからでしょう。
主人公の女性は金持ちの男と結婚したことで何不自由ない生活を送ることができていますが、その反面親族からは相手にされない、女性だからと自由に働かせてもらえないなど、お金持ちの一員になること=自由とは限らないことを知ります。
だからこそ一種の達成感、充足感を得るために異物を飲み込んでいくことになるのでしょう。
そんな彼女の行動を知った周りの人間がどんな反応をとってきたか、それがこの映画の描きたいものなのだと思います。
彼女に寄り添って手助けをしてくれる人物が何人かいましたが、その人物たちの境遇を考えるとその行動にも納得できるでしょう。
だからこそラストの彼女の描かれ方にも共感ができるのだと思います。
監督の祖母も主人公と同じような境遇になった結果ヒステリーのような状態になり、ロボトミー手術を受けさせられ、人間の尊厳を危ぶまれることになったと言われています。
そう言った個人的な経験が映画の中で昇華できているのだと思います。