法廷ドラマの傑作
2021年9月19日 12時46分
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総合評価:
5.0
法学部に進んだら避けては通れない法廷ドラマの傑作.90分代の映画の中でも群を抜いた名作だ.日本は裁判員制度として裁判員の裁量はそこまで認められていないが,アメリカの陪審員はかなり細かいところまで裁量が認められている.制度を意識して本作を鑑賞すると,その制度の責任の重さが理解できると思う.
本作の魅力は一室の中でほとんどが有罪と判断しているにもかかわらず,話が二転三転しながら合理的な疑いが判明するところにある.法律の醍醐味ともいえるエッセンスが贅沢に入っており,理性的に考えること,ちゃんと確かめてみることの大切さが伝わる.
次々と無罪に票を変える中で,浮き彫りになってくるのが,それぞれの陪審員の中にある差別や偏見である.こうした先入観や価値観が誰かを有罪にするときの判断を濁らせていると思うとゾッとする.だからこそ,いろんな人間が納得できる根拠を立証する必要がある.また,誤解や曲解がなくなるにつれて証人まで気になってくる.
法廷ドラマの魅力がギュッと詰まった間違いなく名作である.