映画ポップコーンの評価
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インターネット黎明期が舞台の作品です。 今でこそ簡単に始められるインターネットですが、当時は設定などがややこしく、私自身も苦労したのを覚えています。 主人公・亮介もそんなひとり。 マニュアル片手に接続を試みるもうまくいきませんでした。 偶然繋がった謎のサイトには「幽霊に会いたいですか」と書かれています。 この辺りの不気味さに当時のネット社会を思い出しました。 繋がっているのに画面の向こうの相手が認識しにくく、独特な閉塞感があったんですよね。 もうひとりの主人公・ミチの周りでは同僚などが消えていきます。 赤いテープに囲まれた扉。 それに関わったの者が消えていくのです。 私はこのテープをパソコンのモニターのように捉えました。 当時のネットにあった画面の向こうの相手が認識しにくいがゆえの、相手の存在の曖昧さ。 それを「消える」という現象で表現しているのではないかと思います。 作品発表から20年。 今は簡単にネットにアクセスでき、多くの人が利用しています。 それを活かして有意義な使われ方も増えてきていますが、一方で画面の向こうの相手を認識していない人も未だ存在します。 回路で繋がっている私達。 相手を不可視の人物ではなく、個性を持った人間であることを心得ておきたいと感じました。 黒沢清監督作品の中でも好きな作品のひとつです。
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