不器用なふたりが丹精込めて仕上げます
2021年7月21日 05時28分
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総合評価:
4.0
異国情緒たっぷりとした神戸の繁華街を抜けて、坂の上の住宅街の先にひっそりと佇んでいる南洋裁店がノスタルジックです。大手百貨店でブランド化して販売促進すべくはるばる訪ねてきた好青年・藤井の前に、店主の南市江が寝起きのノーメイクにパジャマ姿で現れる出会いのシーンは鮮烈ですね。服に関する知識と技術はピカ一ながらも、奥手でコミュニケーション能力は低そうな市江の人柄に好感が持てました。
この街の人たちのために1針1針心を込めて手縫いしたいという市江、彼女のオーダーメイド品を大量生産してもっと世の中に広めたいという藤井。価値観が異なるふたりが時には衝突しつつも、少しずつ歩み寄っていく様子に心が温まります。
足しげくお店に通っていた藤井がパタリと姿を見せなくなる後半の展開と、市江が街中で思わぬ光景を目撃するシーンが切ないです。一生着たくなる1着を完成させることができたのか、手先は器用でも恋愛に関しては不器用な市江の想いは実ったのか見届けてあげてください。