出だしの爽やかさがいいです
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月26日 21時51分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
いわゆるロードムービーに近い作品です。
多くの出会いがあるわけではないので、完全なロードムービーではありません。
スケッチブックを片手に旅をする冴子。
物語冒頭は大変爽やかでいいです。
音楽も非常に雰囲気に合っており、引き込まれるものがありました。
彼女はスケッチブックに書かれた人々に電話をしていきます。
懐かしい恩師や友人。
私にも、もう一度だけでいいから話したい相手がたくさんいます。
それはとても素敵なことなのですが、物語は少しずつ冴子の暗い過去を描いていきます。
そして、旅の理由も。
最後の電話の相手が実は……というのは少々できすぎのような気もしますが、電話口では相当嫌な感じな人物なのがいいですね。
そりゃあ冴子も「目的」に対して気が削がれるというものです。
本作でいい登場人物は、冴子が出会ったカップル。
このふたりがいい動きをします。
人生は、本当にままならなくてときには絶望もするけれど、ひょんなところに希望は落ちているものです。
そんな「希望」の道筋を演じたふたりの好演が爽やかでした。