(きっと舞台版の方が良いけれど)ものすごく汚くて、ものすごく人間らしい
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月31日 23時23分
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総合評価:
3.0
きっと舞台の方が面白いと思ってしまうのは否めない。鄭義信(本作の監督)作・演出の同名戯曲があり、私自身はそちらをまだ見られていないのだが、そんな印象が拭えない。
例えば舞台では綺麗な照明とともに感動的なシーンとして決まるセリフが、映画の世界ではかなり「セリフ」っぽいので浮いてしまう。説明的に聞こえたり、クサく聞こえてしまったり。脚本と大泉洋を中心とする俳優陣が秀逸なだけに、それがよりもったいないと感じてしまうのだ。
良い意味で期待を裏切られたのは、全くコメディではなかったこと。予告編や宣伝を見ていると「狭いながらも楽しい我が家」的な作品かと思っていたが、めちゃめちゃに喧嘩して、ものすごくぐちゃぐちゃで、ものすごく汚くて、それが本当によかった。大泉洋演じる哲男が本当にダメダメでよかった。見ていてものすごくイライラするし、画面殴りたくなるような人間だけど、それこそ人間らしくて本当によかった。鄭義信の脚本が一筋縄でいくわけはないものね。
是非とも舞台で見たいけれど、出会えてよかったと思える物語。