「「信仰」とは」ドント・ヘルプぱぴこさんの映画レビュー

ドント・ヘルプ The Inhabitant

「信仰」とは

このレビューにはネタバレが含まれています

ぱぴこ

2021年2月28日 09時29分役立ち度：0人

総合評価： 4.0

三姉妹が上院議員の家に強盗にはいったことから始まる物語です。
ホラーではありますが、かなり宗教的なモチーフの多い作品。
押し入った家で、彼女たちはベッドに縛り付けられている少女を見つけます。
その親である上院委員夫妻から「彼女を助けないように」と言われますが、解放しようとしてから大変なことに。
少女は「悪魔憑き」だったのですが、その悪魔の力がとんでもなく大きかったのです。
強盗に入った三姉妹は、それぞれ悪魔の思惑によってバラバラになっていき……。
最後までその家に残ったマリアが物語の中心になっていきます。
彼女もまた、おそらく悪魔の手によって、過去の辛いできごとを幻視することになるあたりが面白く、これがラストに繋がるのがいいです。
なんといっても「悪魔憑きの少女」の演技が実に素晴らしいです。
彼女に憑いている悪魔はアモンという強力なもの。
それが時に表面から消え、時には表に出て三姉妹の過去について語るなどします。
言葉はやや荒く、少々下品な言い回しをするのですが、その時のどこか超越した雰囲気をもつ表情がいいです。
おそらく10代前半の役者さんだと思います。この年齢でこの表情を出しているのはすごいと思いました。
彼女の演技を観るだけでも、本作を観る価値はあるでしょう。
物語はバチカンからきた司祭によって、悪魔祓いが始まるのですが全くうまくいかず。
最終的に幻視した世界の中で「赦しの言葉」をつぶやいた三姉妹のうちのマリアの手によって解決してくのがよかったです。
信仰とは神様などを敬愛し、教えに従った生活をするのだけが正しいとは言えません。
たとえそこからはみ出した生き方をしてきたとしても、誰かを赦す力こそが強いものなのだと思いました。
ラストシーンで新しく教皇になったのが、家へ悪魔祓いにきた人物。
彼が言う言葉や表情を見ると「真の信仰とはなにか」と考えずにはいられませんでした。