静かに熱く燃える炎
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月1日 17時57分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
本作は原作を先に読んでいました。
主人公の秀一が原作のイメージに合っています。
知性的でありながらも不器用さをはらんだ演技がいい感じです。
青色の炎と言えば、赤い炎よりも高温。
作中ではチェレンコフ光が一瞬取り上げられていますが、こちらは確か原作にはなかったような……。
いずれにしても危険性を大きく持ったものです。
10年前に離婚したのに戻ってきた養父・曽根。
秀一は彼から家族を守りたい一心でした。
それが曽根を殺すことになるのですが、自分が殺したことがばれると当然本末転倒です。
級友に知られそうになり、更に罪を重ねる秀一の姿がとても切ないです。
大事なものを守りたい、という気持ちが暴走してしまう若さゆえの未熟さもあるでしょう。
その辺りの静かな内面の激しさを二宮和也さんが巧みに演じていました。
秀一が最後に選んだ道。これもまた切ないです。
彼の価値観の中では「それ」しか思い浮かばなかったんだろうなぁ……。
原作にはなかった表現ですが、「その後」の映像の上に秀一が「好きなもの」を語る台詞が重なるのがよかったです。