アンソニーの視点を追体験
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月22日 11時30分
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総合評価:
4.0
町山智浩さんも書かれていますが、この映画は「アンソニー」の視点で何が見えているかを淡々と描きます。だから私たちは疑問に感じることもあるんだけど、徐々に「あ~そういうことか」と腑に落ちます。
認知症ってそういうことなんだ、と実際に会っている人物を自分の都合のいいようにとらえたり、記憶が前後したり。改めて大変な病気だと思います。
特に説明もないまま進んでいくので、90分という上映時間ですし、あっという間に終わりますが、時に不機嫌になり時に上機嫌になってタップダンスを踏み出すアンソニー、熱演でした。
娘役の女優さんもよかったです。死んだ妹のほうを可愛がっていた父親に内心抱く感情は複雑だと思うので。その辺の気持ちの揺れがよく描かれていました。
アンソニーは腕時計を大事にしていて、自分が置き忘れたのに人に盗られたといういい方をしますが、これも恐らく認知症の代表的な症状のひとつで、お金を盗られたというんだけど、実はしまった場所を忘れていただけという人を過去見たことがあります。
認知症は複雑で、見た目はしっかりとして会話もできている人もいるんです。だから余計にややこしい病気だと感じました。