嫁と姑の間で奮闘する婿殿
2021年2月5日 18時57分
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総合評価:
3.0
「シャイニング」は読了しましたが、「ドクター・スリープ」は
途中で読むのをやめてしまいました。
しかし思ったほど世間の評価も低くないので、ちゃんと読めば
面白かったのかもしれません。
映画版「シャイニング」はもちろん傑作です。
これの凄さは別のところで語るとして、
とりあえずこの映画版「ドクター・スリープ」です。
一応「シャイニング」の続編ですが、個人的な見解としては、
全く別物と考えてみた方が良いと思いました。
前作が幽霊屋敷を描いたホラー物とした時、
今作はサイキックVSヴァンパイアを描いたバトル物です。
とはいえ、バトルの描写が弱いのでなんとも言えず中途半端な感じがしました。
「シャイニング」の能力をもった子供たちを拷問したり殺すときに発生する
「生気」を吸って半永久的に生きながらえている「トゥルー・ノット」という、
要するに新手のヴァンパイアの集団が今作では登場します。
しかし、であれば、最終的にはもっと大掛かりな
トゥルー・ノットVSシャイニング軍団の様な図式になっていった方が
面白くなったような気がしました。
また、前作映画のシーンを再現して一部取り入れるなど、
原作者のスティーブン・キングだけでなく前作監督である
スタンリー・キューブリックと、一見双方へ敬意を払っているかのように
思えるものの、言い方を変えれば双方もしくは双方のファンの顔色を伺うような
作りをしているとも言え、もっと悪い言い方をすれば嫁姑問題
(キングがキューブリックの映画を批判していたのは有名な話)の間を取り持つ、
自己主張のできない気の弱い婿殿のような、
そんな独自性のない映画となってしまったようにも思えました。
まあ逆に言えば、嫁と姑の間に果敢に割って入り、
婿殿が自分を殺してまでも積極的に2人の仲を取り持った(ようにも見える)ところは、
この映画一番の成果なのではないでしょうか。