不世出のジャズ・シンガー、ビリー・ホリデイ。その44年の短い生涯は波乱の連続だった。10代半ばで生活のため身体を売り、過酷な人種差別と闘い、麻薬と酒に溺れて幾度となく逮捕され、身も心もボロボロになりながらステージに立ち続けたビリー。だからこそ彼女の歌には凝縮された生が刻印され、20世紀屈指の伝説となった。そんなビリーの人生に共感したひとりの若き女性ジャーナリスト、リンダ・リプナック・キュールが1960年代から10年間かけて関係者にインタビューを重ね、時には何者かに妨害されながらもビリーの伝記を書き上げようと尽力した。しかしリンダも志半ばにして不可解な死を遂げてしまう。この度リンダが遺した200時間以上に及ぶ録音テープが発見され、ビリーの貴重な映像とともに構成されたのが、このドキュメンタリー映画『BILLIE ビリー』である。